6月5日(月):天候も良好の中、本校の学生が田植えを行いました。この体験で得たものは大きいものと思われます。
池波正太郎氏は、早くから人間の退化を憂いて、「人間は、我が手足、我が力を使わぬ限り退化する。肉体のみか頭脳も感覚も退化する。」と述べています。
21世紀を迎えた現在、便利になり過ぎて、半世紀前は当り前の出来事が日常から離れてしまった様に感じます。毎日、口にする「ごはん」のルーツさえ霞に隠れてしまいそうな今日です。
田植えは農作業のひとつですが、「農力で能力を鍛える!」そんなことを感じました。
と云うのも嘗(かつ)ての辛かったけれど、懐かしい経験が走馬灯のように蘇ります。田植えが済み、カエルの声が響き、蒸し暑い夕闇が迫ってくると蛍が舞う。蛍を虫籠で飼っても翌日は光らず、命の儚さや尊さを知り、お米の文字は八十八と書くように手間暇を掛けて口に届く...云々。
時計の針は前に進めば「時間」になりますが、後ろに戻せば「思い出」となります。
1981年に放送された山田太一のテレビ・ドラマ「想い出づくり。」のテーマ曲が脳裏を過ぎります。ザンフィルの美しい音色のヴァン・フルートの音楽で、残念ながら歌詞はありません。
想い出はモノクローム 色を点けてください。
石川茂弘